Design for Communications, Communication for ASIAをテーマに、UI/UXデザイン、ITコンサルティング、モバイル・アプリケーション、Webシステム開発を東京・福岡・ベトナムの3拠点にて展開しているDEFIDE東京丸の内オフィスの移転プロジェクトで、インターオフィスは施工・家具手配・移転作業を、設計はstudio OCULUSが担当した。
UXの要はインターフェイスとなる画面を接点に、その奥に展開する商材やサービスをユーザーに伝える方法を”experience”と表現していることにある。体験してより深い層へ引き込むことで親密なつながりを生むことを目的にしている。
オフィス実空間の構成としてもこの発想をなぞるべく、予感と体験を軸に設計した。機能遮断としての壁と、それを穿つ穴を通しての体験的空間を目指した。
連続的な「重層曲面壁」。曲がる壁が誘導的に行く先を暗示するのでおのずと歩みも進むのだが、湾曲や重層が故にその先がすぐには見通せない空間の連続となっている。奥の空間へ期待を生む効果、奥のレイヤーへ誘う意匠を意図している。
もうひとつが予感を生む「窓」の存在。明け透けにせず、やや限定的なサイズの窓やくぐり穴とすることで、より窓らしく、よりくぐり穴らしくなり、のぞいてみたい、入ってみたいと知覚する。その奥に動画配信撮影やミーティングやスタッフの状況が垣間見える。通常業務の安心と集中を考慮して、座っている人同士では目が合わない高さに設定している。
一体的なワンルーム空間と比べて、壁と窓の存在によって、UXに例えられるような重層性を構成し、それをつなぐ「リンク」を感じさせる空間となっている。
曲面によって深度のある”experience”を意識し、広がりや密度や音響に偏差が生まれるため、スタンディングブレストやソファワーキング、コワーキング、など固定席にこだわらない各種の働き方のシーンをちりばめている。ソファワーキングには福岡やホーチミンの他拠点と立ち話のように常時繋がるモニターを用意したが、このモニターも「窓」の一種であり、隣の部屋もホーチミンも在宅ワークも存在が均質に近づく。
家具や照明についても深度のある”experience”を意識し、集中とリラックスのシーンに合わせて高さ・固さ・意匠を設定している。執務や会議室では長時間集中できる機能、ソファについては、ひとりで執務できるもの、リラックスして頭を休ませるもの、短時間でブリーフィングするもの、外部の人とざっくばらんに話すためのもの。全体的にホームユースとの中間にある安心感・親密感のある居心地のいい場所となっている。
- Project Member
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設計 studio OCULUS
施工・家具手配・移転作業 インターオフィス
- Partners
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撮影 トレアル 藤井 浩司
- Spec
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東京